アトピー患者なら知っておきたい、フィラグリン遺伝子異常
前回の記事でアトピーは、
「根本には皮膚の生理学的異常(皮膚の乾燥とバリアー機能異常)があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。」
と紹介しました。こちら
今回はもう少し掘り下げて、実際にどのような生理学的異常があるのかについて書きます。
フィラグリンという言葉をご存知でしょうか?実は、アトピー患者はこのフィラグリンという肌を潤わせる因子(天然保湿因子)になる元が遺伝的に少ないと言われています。
そのため、角質層の水分量が低下し乾燥を招き、肌のバリア機能の低下につながるようです。
もう少し、付け加えると、
皮膚には「表皮」があり、角質層が皮膚のバリア機能を果たしています。そのバリア機能に必要なのが、「フィラグリン」です。フィラグリンは表皮の細胞に含まれている成分。皮膚の角質層を作っていく中で、プロフィラグリンがフィラグリンになり、角質成分であるケラチンとともに表皮に大切な成分です。つまり、フィラグリンが作られないと、角質異常がおこり、皮膚のバリア機能が落ちてしまうわけです。
2006年、イギリスで、このフィラグリンの遺伝子の異常がアトピー性皮膚炎の約1/3から半数に見られたと報告されました。2008年には、日本でアトピー性皮膚炎の約20%に異常が見られるという報告がされています。
ということです。
実は最近このフィラグリンの遺伝子異常がアトピー性皮膚炎を治療するヒントになりうるとされています。
なぜかと言うと、これまでのアトピー患者は、
体を守る免疫そのものの異常(Th1/TH2のバランス、高IgEなど)がまずあり→それが表皮バリアの破綻をもたらす
とされてきました。しかし、このフィラグリン遺伝子異常の発見によって
遺伝などのバリア機能異常があり→異常のある皮膚から、アレルギーを引き起こすもの(アレルゲン)などが簡単に体内に侵入しやすいので、アレルギーが成立する。
と考えられるようになったからです。
詳しくはこちら
すべてのアトピーがこれに該当するわけではありません。例えば、肌のバリア機能が関係していないアトピーなんかはフィラグリンの不足を補っても何の効果もないです。
ですが、ほとんどと言っていいほどのアトピー患者は肌のバリア機能の影響が少なからずあると言えるので、このフィラグリンを補ったりするアプローチが大切になってきます。(これについてはまた記事にします)
前回の記事でも言いましたが、このフィラグリン遺伝子異常のような肌のバリア機能の異常であったり回復させるにはどのような対処が必要なのかについての認識があまり知られていません。
なので、みなさんにお伝えできるようにわかりやすく記事にしていきたいと思っています。